PPAモデルによる自家消費型太陽光発電設備の稼働をスタート

2023年10月30日よりオンサイトPPAモデル(※)を利用した太陽光発電設備の稼働を開始しました。これにより、寺院内の電力供給を冬季(12月~2月)以外、ほぼ全量、太陽光発電で賄うことが可能となる予定です。寺院でのPPAモデルによる自家消費型太陽光発電設備の設置は全国的にもまだ例がみられず、非常に珍しい取り組みです。

金剛寺では2020年11月に再生可能エネルギーによって寺院内消費電力を賄うことを目的に、自家消費型太陽光発電設備の導入検討を開始しました。翌2021年2月4月の檀家総会にて太陽光発電設備建設を決定。建設場所・設備内容などについて様々な検討を進め、最終的にオンサイトPPAモデルによる太陽光発電設備を建設することを決定しました。

昨年6月に株式会社フロンティアエナジー様を施工会社として選定しご協力を仰ぎ内容の検討を進め、本年9月より発電設備の建設を開始し、10月30日に稼働をスタートいたしました。

金剛寺内太陽光発電設備の概要は以下の通りです。

  • 太陽光発電パネル出力:30.24kW
  • パワーコンデショナー出力:24.75kW(自立運転機能付)
  • 蓄電池容量:25kWh
  • 停電時・夜間における蓄電池の自立運転出力:合計9.9kW

このたび、当該施設を設置した目的は以下の4点です。

地球温暖化問題への取り組み

資源エネルギー庁発表の日本の2021年度総電力発電量における再生エネルギー発電割合は約20%です。 国は2030年度に二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーを36~38%程度まで上げることを目指しています。日本で2050年カーボンニュートラルへの取り組みが続く中、金剛寺も微力ながらその役割を果たしたいという思いで今回の取り組みを行っております。

寺院使用電気の自給自足化と調達コストの安定化

金剛寺では蓄電池を併設することにより、停電時や夜間も含め寺院内での使用電力を再生可能エネルギーで賄うことを目指しています。これにより、地域電力による電力供給が停止した場合にも、金剛寺は影響を受けることなく電気を使用することが可能となります。また、近年国内では電気料金が高騰しています。火力発電の燃料である石油・石炭を輸入に頼らざるを得ない日本では、国際情勢の変化により電気料金が高騰するリスクを抱えています。今回、PPA契約期間における電気の購入単価を20年固定としたため、今後の電気の調達コストを安定化させることが可能となりました。

災害・地域電力停電時の地域住民の避難施設としての活用

太陽光発電設備は自立運転機能がない設備の場合、地域電力会社が停電すると太陽光発電設備も停止します。金剛寺では自立運転機能と蓄電池を導入したことにより、停電時も太陽光発電を作動させることが可能です。さらに、今回の発電設備は全負荷型(※)を採用したため、停電時でも寺院内設備を平常通り使用できます。停電時は9.9kWまで通常通りに寺院内電気設備が使用可能となります。このため、地域電力会社の送電がトラブルにより停止した場合でも、寺院内のプロパンガス設備との併用により、通常とほぼ変わらない寺院運営が可能となります。万が一の場合、金剛寺は地域の避難所として活用いただくべく寺院施設を開放し、避難施設として地域の皆さんにご活用いただく計画です。

※全負荷型とは・・・

発電設備内のパワーコンデショナーを自立運転付きにした場合、全負荷型と特定負荷型のものがあります。施設内すべての電気のバックアップを取りたい場合は全負荷型。一方、1.5kW程度までの必要最低限の電源確保でよい場合は特定負荷型を選ぶこととなります。

データ開示による太陽光発電導入検討材料の提供

太陽光発電が環境面によいとはわかっていても、「豪雪地帯では雪の影響により効果が十分に発揮できないのではないか」という懸念の声を聞くことがあります。金剛寺では、今後発電状況のデータを開示することで、情報を提供し、周辺地域の皆様が太陽光発電設備を導入検討するための一助となるよう努めます。

オンサイトPPAモデルについて

オンサイトPPAとは

PPA(Power Purchase Agreement)とは電力販売契約という意味で、第三者モデルとも呼ばれています。金剛寺が保有する土地を発電事業者が借り、無償で発電設備を設置し、発電した電気を金剛寺が施設で使うことで、電気料金の安定化を図り、CO2排出削減が可能になります。設備の所有者は第三者の発電事業者となるため、資産保有をすることなく再エネ利用が実現できます。今回の設備は一般送電網を介さず電気を受け取るためオンサイトPPAと呼ばれるものとなります。

金剛寺がオンサイトPPAモデルを選択した理由

太陽光発電は、これまで全量売電が主な設置目的でした。しかし、現在では政府の再生可能エネルギー固定買取制度(FIT)の買取単価が安くなっていることもあり、金剛寺では太陽光発電本来の意義を発揮できる自家消費モデルを検討しました。その中で、初期投資が不要であること、メンテナンスコストがかからないことからPPAモデルを選択しました。PPAモデルだと、FIT期間が終了する20年後には発電設備の所有権が金剛寺に移転することも大きなメリットだと考えております。金剛寺のような宗教法人格の場合、収益事業に対する制限があるため、再エネ導入の手法としてPPAモデルは大変有意義な手法であるといえます。

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