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棚経とは?

皆さんは8月のお盆に僧侶がお参りに伺うことをなぜ『棚経』というかご存知でしょうか。今回は棚経まつわるお話をQ&A方式で書いていきたいと思います。

Q.棚経の由来とは?

A.現在では棚経の際は仏壇にて僧侶が読経いたしますが、古くは各家庭で施餓鬼棚(=水棚〔みずだな〕、精霊棚〔しょうりょうだな〕)というものを家の内外に設(しつら)えてそこで読経をしたのです。施餓鬼棚で読経をしたことから棚経(または棚行)と呼ばれるようになりました。

Q.棚経がお盆前なのは、お盆中お坊さんが忙しいから?

A.棚経は本来施餓鬼供養のためのものでした。施餓鬼供養をする準備ができているかどうかお坊さんが各家庭の施餓鬼棚を訪問して確認しつつ読経供養するために、お盆前に行われてきたのです。

Q.施餓鬼棚をなぜ仏壇と別に用意するの?

A.施餓鬼は『お接待』の意味合いが強いものなのです。お盆になったらご先祖様が皆様のもとに戻っていらっしゃいます。しかし亡くなった方々の中には無縁仏(=家が絶えてしまった人や家で迎え入れてくれる子孫がいない方)となってしまった人もいるでしょう。皆さんのご先祖様の中にはそのような無縁仏となった人にも声をかけて「あんた、行くところがないならうちに来て一緒に飯でも食おうや!」といって皆さんの家のご先祖様と関係のない方まで連れてくる方がいるかもしれません。そのような場合に備えて、自分の家と無縁の霊も供養できるよう施餓鬼棚を家の仏壇とは別に設えて、そちらで無縁仏の供養をするために施餓鬼棚を作ったのです。

Q.我が家の先祖には餓鬼(※1)になるような人はいないから施餓鬼はしなくていいでしょ?

A.施餓鬼は自分の先祖の為だけにするものではありません。一切の餓鬼に供養するという気持ちを持つことは、普段我々が心の中に飼っている餓鬼(=貪りの心)を自らの中からそぎ削(そ)ぎ落とすことにもつながるのです。皆さんは、盂蘭盆会で行われる施餓鬼供養の際に、自分のご先祖様の塔婆を探し出して他の人より前に持ってきたり、自分がお供えした塔婆にだけ多くの切子(きりこ)や水をあげていませんか?それでは目連尊者の母親(※2)と同じになってしまうかもしれませんよ。

注釈※1餓鬼とは・・・
人は死後、生前の行いによって生まれ変わる場所が6通りあるといわれており、天、人間、修羅、畜生、餓鬼、地獄のいずれかに生まれ変わると考えられていました(=六道輪廻)。この中で餓鬼とは、『自分さえ得すればよい』、『与えるものは少なく、もらうものは多く』という貪りの心を持って生きた人が死後堕ちる場所といわれており、餓鬼道に落ちたものはものを食べようとしてもあらゆる食べ物が食べる寸前に燃えて炭になってしまい、水も飲むことができず苦しむことになるといわれています。

注釈※2目連尊者の母親
盂蘭盆経というお経の中にお釈迦様の弟子だった目連尊者のお話が出てきます。目連尊者は自分の亡くなった母親が天界で幸せに暮らせているか確認したいと思い、神通力でいろいろな世界を見たところ、なんと餓鬼道に堕ちているではありませんか!そこで、目連尊者は、お釈迦様に「なぜ母親は餓鬼道に堕ちねばならなかったのでしょうか」と聞きます。その時お釈迦様は「目連尊者よ、そなたのお母さんはものを子供たちに食べ物をあげる時に自分の子にだけ多く食べ物をあげようとした。その罪で餓鬼道に堕ちたのだ」と言ったそうです。母親は自分の子供だからといって贔屓(ひいき)をしたことで餓鬼道に堕ちたのです。